レポートを読んで気になったこと。

 

レポートの書き方についてのハウツー本を1冊以上読むように、授業中指示したはずだが、残念ながら読んでいない人が多いようである。以下には一般に減点の対象となりうる項目を列挙しておくので、以後、レポートを書く際には気をつけて欲しい。

 

l         ひとりよがりで誤解を招くような表現。ものを書くときの大原則は、読み手がどう読むかを考えながら書くということである。例えば、「現在最も注目されているのは、中高年の失業増加である」という表現があるレポートの中にあったが、これは要約した本が執筆された2001年の時点のことなのか、2006年現在のことなのか、わからない。おそらく2006年現在では、「中高年の失業増加」が「最も注目されている」ということはないので、2001年のことなのだろうが、いずれにせよ不親切な表現である。「この本が出版された2001年ごろには」といった表現のほうが誤解は少ないだろう。

l         タイトルがない。レポートのタイトルは必ず書く。今回は複数の本を指定したので、タイトルがないと、どの本の要約なのかが書いていないので点のつけようがない。本来ならば0点である。

l         本文がゴチック体。ゴチック体とはこのようなフォントのこと。ゴチックは短い文や語に使うのにはよい(字に太さがあるので、強調するのによい)が、長文では読みにくい場合が多い。レポートの本文は明朝体で書くこと。明朝体とは、この文書の本文のフォント。

l         横書きでホッチキスが右止め。横書きのレポートや文書は、左上をとめるのが一般的なルール。縦書きの場合は右上。

l         ページ番号がない。レポートが複数枚にわたる場合は、ページ番号をつける。表紙をつける場合、表紙には番号をふらないのが一般的である。蛇足ではあるが、私の個人的な好みをいえば、紙の無駄なので表紙はつけないほうが好きである。

l         行間や余白が狭すぎる。レポートの行間や余白には、教員が書き込みをすることがあるので、やや広めにしておくほうがよい。指定されていない場合は、(MS-Word の行間設定ならば) 1.52.0行ていどにする。

l         誤字・脱字が多い。私の経験では、誤字・脱字が多いレポートは、100%内容もいい加減である。よく考えずに慌てて書いて、推敲もせずにそのまま出したとしか思えない。レポートを書いたら、必ず何度か読み返して内容や表現、誤字・脱字をチェックすること。ちなみに私は、3つ以上、誤字・脱字があれば「不可」にあたる点をつける。

l         誰の主張なのかはっきりしない。あるテクストについて論じる場合、テクストの中の主張を紹介したり要約している部分と、自分自身の考えを分けて書くのが原則である。例えば、あるレポートでは、「……より積極的な政治行動が組織されねばならない。これらを踏まえて、いくつかの短期的な指針を示してみる。」とある。この「短期的な指針を示して」みているのは、そのテクストの著者(あるいはテクストの中で参照されている第3者)なのか、要約をしている筆者なのかがわからない。「著者はいくつかの短期的な指針を示している」といった書き方のほうがよい。

l         文章ではなく、メモ・ノートのようなもの。レポートは、きちんとした文章のカタチで書くのが普通である。例えば、次のような文体はレポートとしては好ましくない。

²        OLの抵抗

l         どのようなものか?

Ø         受身の仕事態度・頼みごとの拒否……

l         なぜできるのか?

メモやノートは、簡潔でよいが、曖昧さが多く残る。多くの場合、読み手が補って考える部分が普通の文章の場合よりも大きくなり、知識や問題関心を共有していない読み手にはわかりにくい場合がある。レポートは書き手の知識だけでなく、文章表現力や論理の組み立てを評価されるので、メモやノートでは適切な評価ができない。

l         段落の分け方が不適切。まったく段落を区切らなかったり、やたら細かく区切ったりすると、文章全体の構造がつかみにくい。

l         体言止めの多用。

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