外見・容姿から見た階層文化

太郎丸 博

2022-11-08

背景

問題

美的労働

本報告の分析対象

労働場面に限定せず、外見にかかわる変数が社会階層によって異なるのか概観

容姿1: アクセサリ、整髪料、化粧など(アクセ等)

容姿2: 理髪/美容店頻度・出費(美理容院)

容姿3: 頭髪、体毛の手入れ時間(整髪時間)

容姿4: 顔、スタイル、肌、等自己評価(容姿評価)

仮説

  1. 男性よりも女性のほうがルッキズム等の影響を受けるので、階層の影響は弱い?
  2. 若い時のライフスタイルが現在まで継続するというよりも、現在の仕事や生活の影響を受けるので学歴の影響は軽微?
  3. 整髪時間以外はお金である程度買えるので、世帯収入の影響を受ける? 特に女性(男性は必要性を感じていない人が多いので)
  4. 自律性の高い職種ではオシャレなどしやすいので、アクセ等や容姿自己評価は高まりやすい?
  5. 容姿も文化資本の一部と考えると、文化資本(文化活動の頻度)が高い人ほど、容姿1~4すべて高まりやすい?

データ

階層の尺度

仕事の自律性の尺度

文化資本の尺度

分析結果1: 女のほうが男よりも階層の影響を受ける?

決定係数を男女で比較しても大差なし。年齢以外は階層変数ばかりで、年齢の効果も男女で大差ないので。

表 男女別に外見関連変数を階層変数に回帰させたときの決定係数
アクセ 美理容院 整髪時間 容姿評価
0.21 0.06 0.04 0.11
0.21 0.07 0.04 0.11

結果2: 学歴の影響は無い? 四大、院の男がアクセつけない傾向

表 学歴の偏回帰係数(中高が基準)
アクセ 美理容院 整髪時間 容姿評価
男 短大 -0.08 -0.07 3.19 0.09
(0.08) (0.26) (2.20) (0.16)
男 四大 -0.14 * -0.19 0.03 -0.06
(0.06) (0.20) (1.68) (0.12)
男 院 -0.23 * -0.40 1.63 -0.06
(0.10) (0.29) (2.49) (0.18)
女 短大 0.12 0.44 -0.13 -0.09
(0.12) (0.34) (2.77) (0.13)
女 四大 0.06 -0.04 -2.99 -0.16
(0.12) (0.35) (2.83) (0.14)
女 院 0.16 -0.29 -4.88 -0.09
(0.23) (0.66) (5.38) (0.26)

結果3: 整髪時間以外は金で買える? 特に女

表 世帯収入(百万円)の回帰係数
アクセ 美理容院 整髪時間 容姿評価
-0.00 0.05 ** 0.02 0.02 *
(0.01) (0.02) (0.16) (0.01)
0.03 ** 0.10 ** 0.01 0.05 ***
(0.01) (0.03) (0.26) (0.01)

結果4: 仕事の自律性がオシャレさを増す?

表 仕事の自律性(Z得点)の回帰係数
アクセ 美理容院 整髪時間 容姿評価
0.10 *** 0.13 0.66 0.18 ***
(0.03) (0.08) (0.73) (0.05)
0.07 0.01 2.27 0.19 **
(0.05) (0.14) (1.17) (0.06)

結果5: 外見は文化資本の一部?

表 文化資本の回帰係数
アクセ 美理容院 整髪時間 容姿評価
0.20 *** 0.28 *** 2.95 *** 0.21 ***
(0.02) (0.07) (0.62) (0.04)
0.27 *** 0.46 ** 1.24 0.11 *
(0.05) (0.14) (1.12) (0.05)

その他の結果

まとめと議論

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